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この連載はかもめと街 チヒロさんと好きなZINEをそれぞれ紹介しあうというコンセプトで始めました。毎月10日(シモダ)・25日(チヒロさん)の月2回、それぞれのサイトで往復書簡を公開します。前回のお手紙はこちら。
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かもめと街 チヒロ様
7月の時点ですでにぐったりしていましたが、それを上回る日々の暑さにしっかりとやられています。チヒロさんは夏バテなどされていないでしょうか?
「全日本ZINEファンクラブ」もついに一年(12往復)を超えましたね。永遠に待ち合わせの駅に辿り着けず、なぜか途中神奈川県を経由したり手前の駅で降りたりしながら半泣きで合流して、その後入ったカフェでおすすめのZINEを紹介しあったのももう一年以上前。あの時間がなかったらこのやりとりも生まれてなかったかもしれないと思うと、とても感慨深いです。しみじみ。
すごくおいしい生ビールを出すお店!めちゃめちゃ気になります。チヒロさんを感激させるビール、いつかぜひ味わってみたいです。できれば夏に……!
前回も素敵なおすすめありがとうございました。日々のお弁当だったり寂しい気持ちだったり、自分にしかわからない部分を切り取って記録するのはまさに日記の醍醐味ですし、そうやって切り取られた誰かの日常を垣間見ながら自身の生活や感情と向き合えるのが日記本の良いところですね。
『大人交換日記』を出されてるじぇっきゃさんは以前ひつじがにもきてくださった事があり、お互い左利きなのもあって勝手に親近感を抱いているので、チヒロさんの紹介でじぇっきゃさんのお名前が出てきただけで嬉しかったです。世界の狭さを感じました。
さてそろそろおすすめをしないといつまでも雑談をしてしまいそうなんですが、今回はチヒロさんの「文学フリマ岩手で買った作品スペシャル」に対して「ここ最近ひつじがで出会った作品スペシャル」をお届けしようと思います。出不精が炸裂している今年の夏ですが、それでも日々素敵なZINEと出会えているので不思議です。
『かけらをあつめる』(かわかみなおこ)
以前ゲスト参加させていただいた食べ物をめぐるZINE『mg.』の編集長をされているかわかみなおこさんの短編集で、短いお話が8篇収録されています。
チヒロさんが紹介されていた華道部OGの会さんと近いのかもしれませんが、『mg.』も学生時代のご友人たちが集まって作られたZINEで。それだけでも素敵なのに、さらにそこから「とまり木文庫」というレーベルを立ち上げて、その中でメンバーの個人誌を続々出版されています。仲の良い人たちで集まってZINEを作る動きからレーベルにまで発展するのが見ていて面白く、またそういう友人が身近にいることに内心羨ましさを感じてしまいました。笑
『mg.』や『BeːinG』(これもかわかみさんが作られているZINE)のクオリティの高さから名編集長の香りを漂わせているかわかみさんですが、書き手としてもとても素晴らしいので機会があればぜひ読んでいただきたいです。
『(あっ!)創刊号』(トリアロコひろしま)
広島にあるゲストハウス兼コミュニティスペース「トリアロコひろしま」に集う方々が作った、言葉になって外に出ていく前の心の中にある音のない声(あっ!)に焦点を当てたマガジンです。現在第二号まで刊行されています。
先月ひつじがで開催したZINEの即売イベント「カウンター vol.2」に参加いただいてこのマガジンの存在を知ったんですが、先にあげたテーマ設定の絶妙さや、身近なところにいる人たちで集まってそれぞれが言葉を寄せることで一冊作り上げてしまう流れに心をわしっと掴まれました。こんな場所が家の近くにあったら……
今回「トリアロコひろしま」さんは『(あっ!)』の他にもメンバーがそれぞれ作ったZINEを出してくださってたんですが、どれも本当に面白くて。今回は代表してこれを紹介しましたが、ギリギリまでどれを紹介するか迷いました。『mg.』(とまり木文庫)もですが、世の中にはすごい集団がまだまだたくさん存在していますね。
『サッド・バケーション』(飯村大樹)
今回最後に紹介するのは、書籍の組版やデザインのお仕事をされている飯村大樹さんの雑文集です。短いエッセイと、その合間に断片的な日記が収録されていて、繊細な言葉の運びにぐいと引き込まれて一息で読み切ってしまいました。
ひょんなきっかけでひつじがに来店してくださった飯村さんが店頭で販売しているZINEをご覧になられて、その後に実は自分もZINEを作ってるんですとお話をしてくれたのがきっかけで。後日そのZINEを献本でいただいたんですが、店の選書を見てそういう話題を持ちかけてくれたのかと思うとなんだか誇らしい気持ちになりました。
と書いてて気が付いたんですが、今回紹介した『mg.』のかわかみさんも「トリアロコひろしま」の某メンバーさんもそして飯村さんも、みなさんひつじがに遊びにきてくださったことがあって、これを書きながら場の存在意義を改めて強く感じました。
チヒロさんも遊びにきてくださったことありますし、店の中にいながら作り手さんたちとお話ができるのって役得でしかないですね。大切にしなきゃだ。
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ひつじががあってよかったと再認識することになるとは書き初めの段階では全く思ってなかったですが、結果的に非常に手前味噌なお手紙になってしまい大変恐縮です。後々読み返した時恥ずかしいだろうなあ……
そしてカタログが出てしまったのでもう黙っていることでもないですが、実は来月の文学フリマ大阪にブックバーひつじがも出ます。確認したらチヒロさんともわりかし近いブースだったので、当日寝坊せずに会場入りできたらぜひご挨拶させてください!
今はそれに向けての新刊制作が佳境を迎えつつあり、並行して進めている翌月の文学フリマ福岡に向けた新刊もあっててんてこまいです。毎度のことですが、まだ余裕があるなと呑気にしていた時期の自分をぶん殴りたい気持ちに駆られながら色々なものに追われる日々。とはいえいよいよ締め切りが迫ってきたので、ゴールテープを無事切れるようにがんばりたいです。
まだまだ猛暑が続きそうなので、チヒロさんもどうぞご無理はなさらず。次回のお手紙も楽しみにしてます!
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かもめと街のチヒロさんと毎月25日と10日にそれぞれのサイトでzineを紹介し合う連載を始めました。
次回更新は「かもめと街」です。
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