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【全日本ZINEファンクラブ】29通目

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この連載はかもめと街 チヒロさんと好きなZINEをそれぞれ紹介しあうというコンセプトで始めました。毎月10日(シモダ)・25日(チヒロさん)の月2回、それぞれのサイトで往復書簡を公開します。前回のお手紙はこちら

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かもめと街 チヒロ様

暑い暑いと言っていたのが嘘みたいに過ごしやすい日が続いてますね。

先月はお手紙をおやすみしてしまい申し訳ありませんでした。文学フリマや福岡PARCOで開催していたBOOK MEETS FUKUOKAなど、この秋も本にまつわるイベントが立て続けに行われていて、なんとか無事(?)乗り切ることができました。特に今回PARCOのイベントにはチヒロさんにもご参加いただけて、先の文学フリマ大阪に続いてまたイベントでご一緒できて嬉しかったです。

文学フリマ福岡は今年から会場が変わり、前年と比べて出店者も増えて、牧歌的な雰囲気は保ちながらも相変わらずの盛り上がり。そしてイベント前後にひつじがの方にも立ち寄られる方々もちらほらいらっしゃいました。中には遠征の目的地にしてくださってる方や、後日福岡滞在のエピソードの中で来店時のことを話してくださってる方も居て、改めて文学フリマの影響力の大きさを感じました。

BOOK MEETS FUKUOKAは17日間の長丁場で開催されていましたが、さすがはPARCO。いつ顔を出してもたくさんのお客様が会場にいらっしゃって、各書店や出版社のブースも早々に在庫切れしているものが多々あり、期間中新商品が続々入荷するので何度行っても面白かったです。場所を借りる形で開催した「カウンターvol.3」も好評いただき、普段のひつじが店頭とは作品の動き方に明らかな違いがあって、それもものすごく勉強になりました。(今後に活かしたい……)

今はお祭りムードも落ち着いて若干のんびりしつつ、ここ数ヶ月で購入したZINEやリトルプレスにようやく手を伸ばせるようになってきました。締め切りに追われることなく本が読めることがこんなにも幸せなことだったなんて。定期的に締め切りに追われるからこそ気づくことができる喜びを噛み締める毎日です。なんて前置きはこのぐらいにして、ここ最近入手した作品をいくつかご紹介させていただきます。

『蚤と自由』(柿内正午)

一冊め(?)からZINEやリトルプレスに分類されないかもしれない作品(ペーパー)ですが、どうしても紹介したいので無理くりねじ込ませてください。これは文学フリマ福岡にこられていた柿内正午さんのブースで入手しました。A4用紙ホッチキスどめの潔い風貌ながらも、中身は随所に柿内節が炸裂していてたまらないです。福岡遠征に向かう飛行機が出る当日の朝に書き始めたっていうのがもうすごい。

今は商業出版物と大差ないほど質の高いデザインをしているZINEやリトルプレスもたくさん存在してるし、商業的な面まで考えたら見た目も大事。より良いものを作る意識を持つのは素晴らしいことだと思います。が、それが「より良いものを作らねば」という呪いみたいになって、せっかくの衝動が形になる前に霧散してしまうことだってあるでしょうし(僕はそれでめちゃめちゃ二の足を踏んでた時期がありました)、自主制作の醍醐味がなんなのかすらよくわからなくなってしまう。その点、初期衝動がそのまま発露されている今回の柿内さんの作品には「そうそう、こういうものが読みたかったんだ」というある種の<正しさ>みたいなものを感じました。

ちなみに柿内さんも文フリ前ひつじがに来店してくださってゆっくりお話することができたのです(その時の様子を柿内さんも日記に書いてくださってますのでお時間あればぜひ)が、そこで出てきた話題が後日読んだ『蚤と自由』に書かれている内容とリンクしていて、文章を読む前に著者から同様の話を聞く(その後改めて読む)という貴重な読書体験をしました。なんたる役得。まさか福岡で、作品を書いた当日の著者とお話ができる機会があるとは思わず、それもこれも文学フリマ様様です。

 

『マッチングアプリを読む』(針山)

こちらも文学フリマ福岡に出店されていて、当日ブースで購入しました。タイトルの通り針山さんがマッチングアプリでマッチした方のプロフィールが世代別にまとめられていて、添えられた短いコメントが秀逸でテンポ良く読めてしまいます。書いた人たちはそもそもこんな形で他人に読まれるとは思っていないんでしょうが。笑

ただ手当たり次第に出てきたものを読むだけでなく、世代別に分類して共通する特徴を挙げられるなど目線がマーケッターのそれで、真面目なのか不真面目なのかよくわからない感じもまた面白かったです。それにしても世の中にはいろんなマッチングアプリの使い方があるな、と関心してしまいました。

 

『ポートピア花壇捜索隊2』(Towers)

以前のお手紙で紹介した『ポートピア花壇捜索隊』の続編が出たとのことで、すぐさまオンラインで注文しました。前作を上回る熱量とリサーチ力で新たに花壇が発見された20箇所のことがまとめられています。隊員からの情報提供も結構掲載されていて、捜索隊の規模が拡大していることに驚きました。近くに住んでたら花壇探ししちゃうだろうな……

花壇のレポートだけでなく、ポートピア’81の概要や当時働かれていた方のインタビューなどの情報もふんだんに盛り込まれていて、さらにおまけで円筒形花壇のペーパークラフトまでつく充実ぶり。街の中に残る花壇を風化させず、発展させて周囲を巻き込みながらここまで楽しむことができるのかと、ただただワクワクしながら読んでしまいました。いつかなくなる街の風景が丁寧に記録されているので、チヒロさんもきっとお好きな本だと思います。ぜひ一緒にペーパークラフトを作りましょう!

福岡のイベントラッシュが落ち着いて、次はいよいよ文学フリマ東京ですね。チヒロさんも絶賛製作中、もしかしたら締め切りに追われているかもしれませんが、どうぞご無理はなさらず。前日はしっかり寝て、当日万全の体調で臨まれてください……!

今回も東京には行けずですが、一度は文学フリマ東京の熱気も体験してみたいなあと最近いよいよ思うようになりました。一般参加するか出店するかはわからないですが、もし仮にその時よっぽど絶好調で「よ〜し、出店するぞ〜!」となっていたら、その時はチヒロさんの近くにブースを出せたらうれしいです。

では、次回のお手紙楽しみにしてます。

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かもめと街のチヒロさんと毎月25日と10日にそれぞれのサイトでzineを紹介し合う連載を始めました。

次回更新は「かもめと街」です。

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