>>白金ニューヒツジホテル

日報(230513)

五月十三日(くもり時々雨)

広島県から某氏が来店。近くで静かに飲める酒場を探していて、検索したら出てきたので立ち寄ってくれたとのこと。店名に「ブック」があるだけで、本を読む人たちが集まるのであればきっと静かなのかもしれないと想定して足を運んでくれる人は思いの外たくさんいる。需要があるのも、それにひつじがが引っ掛かるのも嬉しい。

特段会話を禁止しているわけではないので時と場合によってはお世辞にも静かとは言えない(なんなら騒がしい)瞬間も当然あるが、それでも空間の中に一人でも本を読む人がいたら自ずと声のボリュームを落としてくれる人が大半なので(ごく一部ボリュームの調整ができない方にはお声がけをしているが滅多にない)、結果的に読書と会話が両立して、静かな場を想定して来店してくれた人たちからお叱りの言葉を直接いただくこともなく、ましてや「私語厳禁」などという余計な制約を設けることもなく場が存続している。有難い。

某氏が新刊販売区画を眺められていたので、一冊ずつその本を置いている理由を紹介する。三冊ほどそれをしたときに、このままだと全ての本でそれをしかねないことを悟り、その後は気になるものがあったらお話するので教えてくださいと伝え、少し距離をとった。間合いのむずかしさ。自分が長らく苦手だったアパレルショップ店員の前のめり営業と似たようなことをいつの間にか自分がやっていて恐ろしい。今なら当時大学に入りたてで田舎から出てきた自分が彷徨った挙句立ち寄った際に言われるがままに2万円のジーンズ(それまでに数万円する衣服を買ったことがなかったので会計時震えたのを未だに覚えている。でかでかと龍の刺繍が入っていて、あまりにも似合わなすぎて数回着用したのちは消息不明)を買わされた店のお兄さんの気持ちが少しだけわかる。などと思っていたら、たまたま手に取った『白ねこ黒ねこ』の開いた頁に書かれていた本のタイトルが自分の好きな本だったとのことで、それに運命的なものを感じたと言ってその本を購入してくれた。説明よりも運命。間違いない。

東京から再訪した某氏たちと話す。オルタナ旧市街さんの著書をまとめて購入してくれて、『一般』の店頭在庫がほぼなくなり、嬉しさ余ってオルタナ旧市街さんにそれをすぐさま報告し、その勢いで追加の注文を相談した。

それぞれを見送りまったりしていたらナナシナさんが来店。21日に催される文学フリマ東京で出す予定の雑誌の進捗を聞いた。相変わらずのスピード感。見習いたい。

六本松で宅飲みをしていたコマキさん御一行がわざわざタクシーで来店し二次会。宅飲みから外に出て二次会をするパターンが斬新すぎて驚いたが、改めて結婚のお祝いをしてもらう。好きなお酒を飲んでいいよと言ってもらい、そのお言葉に甘えてボトル(一番搾り)をいただく。知人の結婚式で東京から福岡に来ていた某氏も職場の後輩を連れて来店してくれて、珍しく一旦凪いでから深夜帯に賑やかになった。当たり前に二次会や三次会が行われる日々が訪れたのがとても嬉しい。ノーモア早仕舞い!